もしクレジットカードの現金化で問題に巻き込まれたら、あなたはまずどこへ相談するでしょうか?

多くの方は警察や弁護士がまず頭に思い浮かぶことでしょう。
ところが残念ながら、警察と弁護士は最初の相談相手としてはあまり適した存在ではありません。確かに両者とも問題そのものの解決に力を尽くしてくれるのですが、完全解決に長い時間を要したり、高額な金銭負担が発生したりと相談者側の負担も大きく、いきなり相談するには適していない現実があります。

それでは、トラブル発生時には一体どこへ相談すればいいのでしょうか?
当サイトでは国民生活センター(国民消費者センター)をおすすめいたします。

名前を聞く限りではあまり頼もしい存在に思えないかもしれません。
しかし国民生活センターの相談員は強いトラブル解決力を持っており、相談料が無料であることも相まって最初の相談相手として最も適した存在なのです。

今回はクレジットカード現金化でトラブルが発生した際、警察と弁護士へ最初に相談することのデメリットと、相談相手として国民生活センターを選ぶことをおすすめする理由を解説致します。

クレジットカード現金化で起きる詐欺被害の実例は?

 
クレジットカード現金化では、現金化を急ぐ利用者の気持ちにつけこんだ悪徳業者によって、詐欺被害に遭ったという話がネットの口コミなどで見られます。

どのような被害に遭っているのか、代表的なものを紹介します。

換金率を騙された

現金化業者のホームページでは、換金率90%以上と宣伝していたのに、実際に振り込まれた金額で換金率を確かめたら60%にも満たない金額でした。

業者に問い合わせると、即日手続手数料、振込手数料などの名目で後から引かれていることがわかりました。
こちらも現金化を急いでいた手前、諦めるしかありませんでした。

現金が振り込まれなかった

業者のホームページのメールフォームで申し込み、本人確認書の写しを送ってクレジットカード決済で商品を購入しましたが、一向に現金が振り込まれません。

業者にメールで問い合わせをしたのですが一向に返事がありません。
ホームページの会社概要に電話番号や会社所在地の記載がないため他に連絡手段がなく、泣き寝入りするしかありませんでした。

キャンセル料がかかった

ホームページからメールフォームで申し込みましたが、その後なんとか身内からお金を借りることができたのでキャンセルしたいと連絡しました。

しかし、既に手続きが進んでしまっていると、キャンセル料を要求されました。
キャンセル料についてはどこにも書いておらず、カード決済前で争えば支払わずに済む気もしましたが、個人情報を渡してしまった後なので渋々払いました。

個人情報を横流しされた

一度、クレジットカード現金化を利用してから、怪しい金融会社からメールやDMで「お困りの方ご相談ください」「多重債務でも融資します」といった案内が届くようになりました。現金化業者に身分証明書の写しを渡しているので、個人情報を横流しされ、闇金から「金に困っているいいカモ」と思われているのかもしれません。

クレジットカードを悪用された

クレジットカードの支払い日に身に覚えのない請求があり、クレジットカード会社に自分が使ったわけではないことを連絡してクレジットカードの不正利用として処理してもらいました。金銭的な被害は食い止められましたが、新しいカードの再発行、公共料金のカード決済やショッピングサイトのカード決済のカード変更手続きをしなければならず大変な思いをしました。不正利用で思い当たるのは、少し前にお金に困って、クレジットカード現金化をしたことです。おそらく、カード情報を悪用されたのだと思います。

警察や弁護士への相談はデメリットがある

トラブルが起きた時 相談先として真っ先に思い浮かぶ2者だけれど……

クレジットカードの現金化に限らず、何かしらの金銭トラブルが発生した時、警察と弁護士は相談先としてまず最初に思い浮かぶ存在です。

しかし実際にトラブルに巻き込まれてしまった場合、この2者を相談相手に選ぶのはあまり得策ではありません。

なぜなら、いざ相談したとしてもすぐにお金が返ってくることはまず考えられず、加えて多くの時間とお金を費やすこととなってしまうためにメリットが乏しいからです。

警察に相談しても 悪徳業者を即逮捕することは難しい

警察に相談しても 悪徳業者を即逮捕することは難しい

悪徳業者の多くは、法に触れるギリギリのラインで現金化を手がけていることが大半です。
換金率や入金までの日数がHPに掲載されているものと違っていても、長文の利用規約にこっそりと逃げ道になる文章を含んでいる場合が多く、この場合は残念ながら警察でも手を出すことができません。

また仮に悪徳業者の手口が法に抵触し、逮捕ができる場合であっても、実際にお金を取り返すには多くの手間と時間を要します。

警察は業者を逮捕するところまでは責任を持って手がけてくれますが、被害額を取り返すには別途民事訴訟を起こす必要があるからです。

訴訟を起こす際には弁護士の選任や訴状の作成が必要となるため、最終的には被害額と同じくらいの労力を費やすこととなってしまいます。

弁護士に依頼する場合 相談料や着手金などの金銭負担が大きい

弁護士に依頼する場合 相談料や着手金などの金銭負担が大きい

では警察を介することなく、直接弁護士へ相談する場合にはどうでしょうか?
こちらも残念ながら、あまりおすすめできる方法ではありません。

確かに弁護士へ直接相談する場合には、警察の逮捕を経ることなく被害額の返金を訴えることができるため、早期にお金を返してもらえる可能性があります。

しかし弁護士に相談し訴訟を依頼する場合、たとえ少額訴訟であっても相談料や着手金などの金銭負担は小さなものではありません。

無料の法律相談で相談料の節約ができても、実際に訴訟を起こす場合には着手金が必ず発生します。
被害額を取り返せたとしても、結果的にほぼ同額の金銭負担が生じる可能性も十分に考えられるのです。

クレジットカード会社に相談するのは絶対NG

 
クレジットカード現金化でトラブルが起きた際、なんとか被害を食い止めようとクレジットカード会社に連絡をするのはNGです。

クレジットカード会社では、利用規約でクレジットカード現金化を禁止しています。

もしクレジットカード会社にクレジットカード現金化を行ったことが発覚すると、利用代金の一括返済を請求されるとともに、クレジットカードの利用停止や退会処分になるリスクが生じます。

クレジットカード会社の業界団体である日本クレジット協会では、クレジットカード現金化をしてしまうと結局自分の債務を増やすことになり、また思わぬ犯罪やトラブルに巻き込まれる危険があると警告しています。

最初の相談は国民生活センターがおすすめ

国民生活センターの仕事とは?

昭和45年10月に発足し、平成15年10月に独立行政法人に移行した国民生活センターは、「消費者基本法」に基づいて、日本における消費者問題の中核的な組織として消費者被害の未然防止や拡大防止に努めています。

全国にある消費生活センターの相談業務の支援、裁判外紛争解決手続(ADR )の実施、商品テスト、地方自治体の担当者や消費生活相談員への研修、生活問題に関する調査研究、メディアを通して消費者への情発信などを担っています。

消費者庁直轄のトラブル解決先 日本クレジット協会との情報共有も行われている

消費者庁直轄のトラブル解決先 日本クレジット協会との情報共有も行われている

それでは万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合、どこへ相談すればいいのでしょうか?
金銭的な負担を最小限に抑えつつ、早期に問題の解決と返金が期待できる相談先として有望なのが、国民生活センターです。

国民生活センターは消費者庁が直轄する独立行政法人であり、日夜あらゆる消費者トラブルの解決と注意喚起に努めています。

また日本クレジット協会と情報共有を行っていることから、クレジットカードのトラブルに関しても豊富な事例と解決ノウハウを有していることが特徴です。

気軽に相談できる環境を整えるために相談料は原則無料となっており、トラブル発生時に最初の相談先として選ぶにはまさに最適な存在であるといえるでしょう。

相談員のトラブル解決力は 想像以上に強い

相談員のトラブル解決力は 想像以上に強い

「早期解決のためには、国民生活センターの相談員さんよりも弁護士に任せたほうがいいんじゃないの?」
そうお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし国民生活センターの相談員の力量は、私たちの想像を大きく上回ります。
彼らの消費者権利に関する法律知識は弁護士と同等かそれ以上に精通しており、相談相手としては敏腕弁護士と同じくらいに頼もしい存在です。

また、消費者自らが業者と交渉するにあたってのサポートを原則としていますが、当事者のみでの解決が困難な場合には相談員が自ら交渉テーブルにつくことも多々あります。

被害者の救済のためには時にハードな交渉へ臨むことも躊躇しません。
このように国民生活センターは、無料の相談相手であってもトラブルの解決へと導いてくれる可能性が非常に高く、万一トラブルに巻き込まれた場合の頼もしい味方として頭に入れておきたい存在なのです。

消費生活センターとはどう違う?

消費生活センターとはどう違う?

国民生活センターとよく似た機関に、消費生活センターがあります。
国民生活センターは前述の通り国が運営する組織ですが、一方の消費生活センターはより身近な相談相手となることを目的として地方自治体が運営し、窓口を設けています。

両者とも消費者トラブルの相談や解決を促す役割は同じであり、情報共有を行うなどの協力関係にあるため、相談先としての優劣は全くありません。

従って、相談先に迷った場合にはどちらか身近にある方へ足を運ばれることをおすすめ致します。

国民生活センターへの相談は 思った以上に多い

トラブル相談件数は毎年100件以上

クレジットカード現金化のトラブルに関する相談件数は、思いのほか多いものです。
業界全体が健全化に努めていることもあり、ここ最近の5年間では相談件数こそ年々減りつつあります。

しかしそれでも毎年100件以上の相談が寄せられており、些細なものから深刻なトラブルの解決まで、様々な声が国民生活センターに集まっているのです。

国民生活センターでの相談件数推移と相談事例

国民生活センターでは、全国の消費生活センターをネットワークで結んで消費者から寄せられた苦情相談情報の収集をするシステム「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」を運用しており、ここで集まったクレジットカード現金化の相談概要を2011年にまとめています。

これによると、クレジットカード現金化の相談は2005年度から寄せられており、その数は1042件になります。

契約当事者の属性を見ると、30代(150件、26%)と40代(147件、25.6%)が多く、その次が20代以下(121件、20.7%)となっており、男女別では男性(355件、57.2%)、女性(266件、42.8%)と男性がやや多く、職業別では給与生活者(330件57.2%)が多く、続いて無職(117件20.3%)、家事従事者(69件、12.0 %)、自営業・自由業(50件、8.7%)となっています。

地域では南関東(176件、27.6%)が一番多く、続いて九州北部(82件、12.9%)、近畿(77件、12.1%)、東海(66件、10.4%)の順になります。(2011年6月国民生活センター公表の「クレジットカード現金化」をめぐるトラブルに注意!第3弾より)

相談内容は、借金返済や生活のために現金を得たいとクレジットカード現金化を利用してしまったというものが多く、前年はギャンブル情報料の支払いのためという理由が目立っていましたが、その後はモバイルサイト内職のサイト作成料金が支払えないでいると業者からクレジット現金化業者を紹介されて利用してしまったという相談が増加したといいます。

国民センターでは消費者へのアドバイスとして、次の4つを挙げています。

  • クレジットカード現金化は利用しない
  • 「安心・安全」という言葉にだまされない
  • 契約内容に疑問を感じたら契約しない
  • 困った時は消費者センターや弁護士会等に相談する

なお、クレジットカード現金化についての相談件数が年々減り、かわって新しい現金化方法についての被害相談が増えてきたこともあり、国民生活センターのクレジットカード現金化についての相談概要まとめはこの第3弾で終わっています。

事例が集まったことにより 解決力はより強力なものに

事例が集まったことにより 解決力はより強力なものに

数多くの相談を受けたことにより、国民生活センターでは現金化のトラブル解決力が更に強まりつつあります。

「換金率や入金までの日数がHPに掲載されていたものと違う」といったよくある問題はもちろんのこと、一方的にお金を貸し付ける「押し貸し」に近い形で振込が行われたケースや、入金が行われなかった場合にも対応の実績があります。

そのため、最初に相談できる相手としてはもちろんのこと、トラブルが深刻化してしまった場合の解決相手としても日々存在感を強めています。

犯罪に巻き込まれている可能性があることから、なかなか最初の相談には勇気がいるものですが、一歩踏み出せば最小限の負担と最短期間での解決が期待できるでしょう。

もしトラブルに巻き込まれたら すぐに相談するようにしましょう

もしトラブルに巻き込まれたら すぐに相談するようにしましょう

クレジットカード現金化のトラブル解決に役立つ、国民生活センターの存在とその頼もしさの秘密についてご紹介致しました。

現金化を検討する一方、トラブル発生時の対処法に不安を覚えている方にはお役に立つことができたかと思います。

クレジットカードの現金化は、トラブルが発生した時にどこへ相談すればいいか頭を悩ませてしまいがちです。

弁護士に依頼して訴訟を起こすには被害額が少額で、カード会社へも相談し辛く、結果として泣き寝入りになってしまうことも少なくありません。

しかしそのような時に国民生活センターはあなたを支える味方になってくれます。
記事中で触れた通り、彼らのトラブル解決力は非常に秀でているため、無料だからと言って力が及ばないといった心配もありません。

できればトラブルとは無縁でありたいものですが……万が一巻き込まれてしまった場合には、勇気を持って相談へ行かれることをおすすめ致します。